水を混ぜたような深緑の草の上に寝転んだ。
まっすぐに上を見上げると目も眩むような青の空が広がっていて、
雲がゆったりと私を眺めるように流れていった。
じっと見つめ返していたら、
段々と空と雲との境目がなくなり、
吸い込まれそうになった。
そのうちに草の水も染み込んできて。
大地に沈み込んでいく私。
自分は小さな細胞の塊。
そんな気がした。
このまま消えてしまったら誰か気付くだろうか。
いっそこのまま誰にも気付かれずに消えてしまえたらと思う。
ふと、誰かの目線を感じた。
雲が私を見つめているだけだと思った。
どんな形をしているか見てみようと視線を移すと
そこには透明な涙を流す男がいた。
いったいこの男はなぜ泣いているのかと思い、
声のない言葉で問いかけた。
男は言った。
君が涙を流しているから・・・。
いつの間に私は涙を流していたのだろう。
なぜ泣いていたのだろう。
そうか、誰も私のために泣くものがいないから
自分で泣いていたんだ。
いつから私のために涙するものがいなくなったんだろう。
あぁ
そうか、生まれたときからそんなものはいなかった。
始めから存在しないものを求めて
私はこんなにの苦しんでいたのかと思うと笑いが溢れてきた。
一切の光も温かみもない、空虚で限りなく黒に近い笑いだった。
私はどこから来たのだろうかと、
いったい何者なのかと記憶を手繰り寄せる。
なにも思い出せない。
いや、一つだけ知っている。
私はもう存在しないということを。



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